「矯正すると歯茎が下がるって本当？」
「歯周病になりやすくなるって聞いたけど…」
このような不安はありませんか？
歯列矯正は、歯を支える骨の代謝を利用して歯を動かす治療法です。そのため、治療の仕組み上、歯を支える歯周組織（歯茎や骨）には一定の負荷がかかります。
高額な費用と長い時間をかける治療だからこそ、後悔はしたくありませんよね。
そこで本記事では、なぜ矯正で歯茎が下がるのか、リスクが高い人の特徴、矯正中にできる予防法まで解説します。
目次
歯周病・歯肉後退とは？構造と進行の仕組み
歯周病や歯肉後退は一言でいうと、歯を支えている大切な土台が静かに崩れていく病気です。
その主な原因は、歯と歯茎の境目にたまった「プラーク（歯垢）」という細菌の塊にあります。
このプラークが取り除かれないままだと、歯茎に炎症が起きて赤く腫れたり、歯磨きのときに出血したりします。
これが歯周病の初期段階である「歯肉炎」です。
この状態を放置すると、炎症は歯茎の奥深くまで広がり、歯を支えている歯槽骨をじわじわと溶かし始めます。
これが「歯周炎」です。
そして、土台である骨が溶けてなくなると、その上にある歯茎も一緒に下がってしまい、歯の根元が露出します。
これが歯肉後退の正体です。
歯肉後退は多くの場合、歯周病が進行した結果として現れる症状です。
この土台が弱くなると、健康な歯でさえグラグラになり、最終的には歯を失ってしまう危険性があります。
矯正治療が歯周組織に与える影響
歯列矯正は、歯を支える骨組織に意図的な新陳代謝を促すことで歯を動かす治療です。
矯正装置によって歯にゆっくりと力を加えると、歯が動いていく方向の骨は「破骨細胞」の働きで溶かされ、
歯が動いた後のスペースには「骨芽細胞」の働きで新しい骨が作られていきます。この繰り返しによって歯が移動する仕組みです。
歯を支える歯槽骨が一時的に吸収されるため、適切なケアを怠ると歯肉後退のリスクが高まってしまいます。
歯を動かすという矯正治療の仕組みそのものが、歯周組織に一定の負荷をかけることは避けられない事実。
矯正治療では、その負荷を抑える工夫が重要になります。
歯肉後退のリスクが高い患者条件と注意すべきケース
実は、歯列矯正で歯茎が下がるリスクは、すべての人に等しくあるわけではなく、特に注意が必要な方がいらっしゃいます。
というのも、もともとの歯茎や骨の状態、年齢、生活習慣が矯正治療による歯周組織への影響の受けやすさを大きく左右するからです。
以下のようなケースはリスクが高まる傾向にあるため、注意が必要です。
- すでに歯周病にかかっている方
- 歯を支える骨や歯茎が薄い方
- 成人、特に40代以上で矯正を始める方
- 喫煙習慣のある方
- 歯ぎしりや食いしばりの癖がある方
- ブラッシング圧が強すぎる方
炎症がある状態で歯を動かすと、歯槽骨の吸収が急激に進み、症状が一気に悪化する危険性があります。
また、生まれつき歯茎が薄い方は、同じ矯正力でも歯肉が下がりやすいです。
さらに、年齢とともに歯周組織の再生能力は少しずつ低下するため、若い頃に比べて歯肉後退が起こりやすくなります。
治療計画では歯肉後退のリスクを抑えるよう工夫
天神キュア矯正⻭科では、これらのリスクをあらかじめ予測し、最小限に抑えるための工夫を治療計画に盛り込んでいます。
一例ですが、以下のような配慮をしながら治療を進めてまいります。
- 歯周組織が回復するペースに合わせ、ゆっくりと歯を動かします。
- 歯や歯茎に過度な負担がかからないよう、弱い力を持続的に加えながら、慎重に歯を移動させる計画を立てます。
- もし治療開始前に歯周病が見つかった場合は、矯正治療を始める前に、まず歯周病の治療をしっかりと行います。
治療前の精密検査で得られたレントゲン写真やCT画像、歯周組織の検査結果などから、患者さん一人ひとりの骨や歯茎の状態を把握し、無理のない治療計画を立案します。
矯正中の歯肉ケアと定期メンテナンス
矯正装置がついているお口の中は、どうしても食べカスやプラークが溜まりやすい死角が増えてしまいます。
このプラークこそが歯周病や歯肉後退の原因であるため、普段以上の徹底したケアが欠かせません。
ワイヤー矯正の方は、歯ブラシに加え、装置の周りを磨くための「タフトブラシ」や、ワイヤーの下を通す「歯間ブラシ」「フロス」などを駆使しましょう。
鏡を見ながら、磨き残しがないか一本一本丁寧にチェックする習慣を身につけることが大切です。
マウスピース矯正の方は、歯を磨くだけでなく、マウスピース自体も専用の洗浄剤などを使って清潔に保ちましょう。
不潔なマウスピースを長時間装着することは、細菌を歯茎に押し付けているのと同じです。
毎日の歯磨きだけでは落としきれない汚れは、歯科医院でのPMTCやクリーニングでリセットするのが理想です。
当院は矯正専門となりますので、こうしたPMTCや定期健診は、一般歯科医院にて、月に一度を目安に受けていただくようご案内しております。
症例紹介：歯肉後退を回避できた例・注意が必要だった例
ここでは、実際に適切な管理を行うことで歯肉後退のリスクを乗り越えたケースと、少し注意が必要になったケースを見ていきましょう。
歯肉後退を回避した例
例えば、もともと歯茎が薄い、あるいは軽度の歯肉炎があるなど、歯周組織に注意が必要な状態から治療を始めるケースは少なくありません。
このような場合、まず治療計画の段階でリスクを評価し、「歯を動かすスピードを通常より緩やかに設定する」「歯周組織への負担が少ない装置を選択する」といった配慮を行います。
そして、歯科衛生士による正しいブラッシング方法の指導を受け、徹底し、指定された間隔でプロフェッショナルケアを受け、お口の中を清潔な状態に保ちます。
こうすることで、歯周組織の健康をしっかりと守りながら、計画通りに美しい歯並びというゴールを目指すことが可能です。
注意が必要だった例
逆に、治療開始時には全く問題のない、非常に健康な歯茎をお持ちの方でも注意が必要です。
「最初は頑張っていたけれど、だんだん面倒になってしまった」といった理由でセルフケアが不十分になると、矯正装置の周りからプラークが蓄積し始めます。
その結果、歯茎の腫れや歯肉後退が引き起こされることがあります。
このような状態になると、安全のため矯正治療を一時中断し、歯周病の治療を優先しなければなりません。
結果として、全体の治療期間が当初の予定より大幅に長引いてしまう可能性があります。
この2つのパターンが示すように、矯正治療の結果は、歯科医師の計画と治療期間中の患者様ご自身の過ごし方によっても大きく左右されます。
まとめ：見た目だけでなく歯ぐきも守る矯正を目指して
歯列矯正は、歯を支える歯周組織に意図的に負荷をかけることで歯並びを整える治療です。
そのため、歯肉退縮や歯周病のリスクが伴うことは事実です。
しかし、これらのリスクは「なぜ起こるか」を正しく理解し、適切な治療計画、徹底したセルフケア、
歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアを組み合わせることで、十分にコントロールすることが可能です。
天神キュア矯正⻭科では、こうした歯周組織へのリスクについても丁寧にご説明し、ご理解いただいた上で治療を進めています。
カウンセリングでは、どのようなリスクが考えられるか、それを防ぐために何ができるかを具体的にお話しします。
歯並びが気になるかたは、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
【天神キュア矯正歯科のSNS紹介】
天神キュア矯正歯科では、SNSで毎週、歯科に関する情報をシェアしています！
歯列矯正に役立つ豆知識や実際の症例写真、休診日のお知らせなど、さまざまな情報をホームページやSNSにて掲載中です。
特にInstagramやTikTokでは、動画でわかりやすくご紹介していますので、ぜひご覧ください(*^^*)
＼天神キュア矯正歯科のSNSはこちら／
→Instagram
→TikTok
「SNSを見ました！」とお声がけいただけると、スタッフ一同とても励みになります。もし参考になった投稿があれば、ぜひお気軽に教えてくださいね。
フォローやいいねもお待ちしております！
