こんにちは、福岡の天神にある天神歯科・矯正歯科です。
当院は舌側矯正を専門にしている医院なので舌側矯正について様々なご質問を頂くことがあります。
特に矯正開始初期には舌や口腔内の痛みについて相談される方も多いです。
矯正を始めるか迷われている方の中には、痛みに耐えられるか不安な方もいらっしゃると思います。
今回は、舌側矯正中の舌の痛みと対策、予防法について詳しくお話していきます。
目次
舌側矯正は舌が痛いの?
舌側矯正は裏側矯正とも呼ばれ、矯正装置を歯の裏側に装着します。
そのため装置を歯の表側に装着する表側矯正に比べ舌の痛みが生じます。
舌の痛みが出やすいのは、①舌の側面②舌の先端③舌の奥側になります。
ただし、最も痛みが出やすいのは①の舌の側面になります。
①舌の側面の痛み
矯正をする人の中には舌の位置を下に置いている患者さんが多くいらっしゃいます。
その場合、下の歯の裏側、特に奥歯に装着した装置が舌の側面に引っかかり傷や口内炎になって痛むことがあります。
また、舌が大きかったり、骨格や歯列の横幅が狭いと舌に装置が当たりやすく痛みが長引く事があります。
仕事や日常生活でたくさん話しをする方も舌の側面が装置に何度も擦れるのでの痛みが続きやすいようです。
②舌の先端の痛み
舌で前歯を押す癖がある方は舌の先端の痛みが表れます。
常に舌が前歯を押していたり、唾や食べ物を飲み込む時、話をする時に前歯を押す癖があると痛みがでやすくなります。
③舌の奥の痛み
舌の奥は、上顎に装置を装着した場合に違和感や痛みがでることがあります。
舌側矯正と併用してよく使われるのは、TADsやパラタルアーチなどです。
唾や食べ物を飲み込む際、舌は上顎を押すような動きをするため、装置に舌が当たって痛みや違和感を生じることがあります。
舌の痛みはどれくらい続く?
裏側矯正中ずっと舌の痛みが続くかというと、そういったことは無く、たいてい10日から2週間程度で舌が慣れて痛みを感じにくくなります。
裏側矯正中の舌の痛みは、上の歯に装置を装着した時よりも下の歯に装着した時の方が感じやすく装着した当日から装置が舌に擦れて痛みが出ることが多くあります。
それから10日程度は傷や口内炎ができたり治ったりを繰り返しますが、2週間もたてば舌やお口の中に装置が装着された環境に適応し舌の痛みは軽減されます。
また、歯のガタガタが強かったり奥歯が倒れこんでいる場合や歯列の横幅が狭く歯列を拡大していく場合は、矯正で歯が並ぶことでお口の中のスペースが整理されるので矯正が進むにつれても痛みは軽減していきます。
舌側矯正中痛みが出やすいのはどんな人?
舌側矯正中の舌の痛みには個人差がありますが、痛みが強くでたり長引きやすい方もいらっしゃいます。
1,仕事などで常に喋っていなければいけない人
装置をつけてすぐの頃は舌が奥歯の装置に擦れて傷や口内炎ができやすいです。そのため、立て続けに話をしなければいけない方は舌が何度も装置に擦れるため痛みがでたり、傷の治りが悪く長引きやすいです。
2,舌が大きい人
3,歯列の横幅が狭い人
4,舌で歯を触ったり押す癖がある人
5,硬い食べ物や食べ応えのある食べ物を好む
などが当てはまる方は、個人差はありますが痛みがでやすいようです。
舌側矯正の舌の痛み予防、対策
矯正装置装着前の痛み対策
〇余裕をもってスケジュールを組む
矯正装置を装着してすぐに沢山話す機会があったり、食事会などで何度も咀嚼する必要があると舌の痛みが増してしまいます。
装置装着日はなるべくその後1週間ほどはあまりしゃべらなくて良いスケジュールや、自分で柔らかいものや咀嚼回数が少なくて済む食事を選べるような日程を組んでおきましょう。
装置装着後の痛み対策
〇ワックスの使用
舌が当たって痛む部分の装置を専用のワックスで覆う方法です。専用のワックスは硬めの粘土のような材質をしており、装置にくっつけると当たって痛む角や出っ張りを覆ってくれるので舌が楽になります。見た目も透明で無味無臭なので違和感はありませんが、一時的な応急処置なので食事や歯磨きの際は衝撃で外れてしまいます。コツとしては、装置をティッシュや綿棒でしっかり乾燥させるとしっかりとくっついてくれます。
〇舌の位置
舌を普段置いておく位置を変えることでも痛みを軽減させることができます。
舌が常に下の方にあったり、舌で歯を押す癖がある方は装置に引っかかりやすく痛みもでやすいため、舌をスポットと呼ばれる上顎の凹みの部分に置いておきます。食事や喋るとき以外は常にその状態を保つことで舌の筋肉がついてきて自然とその位置に舌がある状態を作ることが出来ます。ただし、顎関節症があったり、舌の裏の筋(舌小帯)が短い人はスポットが適していない場合があるので行う際は担当の矯正歯科医に確認してからにしましょう。
〇痛み止め
歯や舌が我慢できないくらい痛い場合は痛み止めの服用をおススメします。
矯正中でも学校や仕事など日常生活は行っていかなければなりません。痛みで全然ご飯が食べられなかったり、うまく寝付けないと日常生活にも支障がでてしまいます。
更に、矯正は代謝を行って歯を動かしていくので偏った食事で栄養バランスが崩れていたり、睡眠がとれていないと歯の動きがうまくいかない場合があります。
お口の中に装置が付いていると歯磨きがしずらく虫歯や歯周病のリスクが増えるのですが、栄養や睡眠がとれていないとそれを助長してしまいます。
ただし、痛みが1週間以上続いたり段々症状が強くなる場合は担当の歯科医師にご相談されてください。
痛み止めは長期服用しすぎるとリスクもあるので用法と用量を守ってお使いくださいね。
食事
装置を付けてすぐに硬いものや食べ応えがあり咀嚼回数が多いものも食べると、舌が装置に当たって痛みが出やすくなります。
装置を付けてから慣れるまではなるべく柔らかく咀嚼回数の少ない食べ物を選びましょう。
そうすることで、舌の痛みも減り、装置が外れてしまうリスクも減らすことができます。
更に、食事ではビタミンB2やB6を多く含む食事を摂ることで口内炎の予防や傷の治りを助けてくれるのでおすすめです。
牛乳、魚、バナナなどは栄養も取れて柔らかく調理すれば咀嚼する回数も少なく済むので摂りやすい食事です。
舌以外の痛み
矯正中には舌以外にも痛みがでます。
・歯が動く痛み
・唇や頬っぺたの粘膜に装置が引っ掛かりでる痛み
・歯が染みる痛み
・咬合痛、顎関節の痛み
など
・歯が動く痛みは、矯正装置をつけてから10日から2週間ほどで収まることが多いです。その後ワイヤー交換をするとまた痛みがでて収まるというのを繰り返します。
・舌側矯正の場合、唇や頬っぺたの粘膜に装置が引っ掛かることはまれですが、部分的に装置やボタンを歯の頬っぺた側に付けることがありその際に痛むことがあります。
・歯が染みる痛みは、矯正で口腔内の清掃が難しくなったり、抜歯矯正で歯を抜いた際に出ることがあります。
・矯正中は噛み合わせも変化するため咬んだ時の痛みや顎の痛み、違和感が出る場合があります。
痛みが続く場合や不安な場合は、担当の医師や歯科衛生士にお知らせください。
まとめ
◇舌側矯正中は、舌に装置が擦れて痛みがでることがあります。特に矯正装置をつけてから10日から2週間は痛みが出やすくなります。
◇の側面は下の奥歯の装置が擦れることで口内炎や傷になりやすくなります。
◇装着直後からたくさん話をしたり咀嚼回数が多い食事をすると痛みが出やすいので注意が必要です。
◇専用のワックスや痛み止めを使ったり、舌の位置に気を付けて対策をしましょう。
◇痛みの程度や期間には個人差があります。不安な方はカウンセリングや診断で装置装着前にぜひご相談ください。
矯正に迷っていたり、矯正中困ったことや気になることがあればぜひ担当の医師や歯科衛生士にご質問くださいね。