こんにちは、福岡の天神にある天神歯科・矯正歯科です。
最近矯正を始められた患者さんから、こんなご質問がありました。
「矯正始めたのに全然痛くないんですけど、ちゃんと歯は動いているんでしょうか?」
結論から言うと歯はすこしずつ動いています。痛みがない事は良い事のように感じますが、こちらの患者さんは違う様子。
「痛くてもいいので、もっと強く動かしてほしいです!」
とおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。確かに、患者さんの気持ちもよく分かります。
ワイヤー矯正は少なくとも1.5年~2年の治療期間がかかります。
少しでも矯正を早く終わらせたい!矯正は痛いって聞いてたのに全然痛くないのは本当に大丈夫なの?
と不安を感じるのもむりはないですよね。今回はその疑問にお答えして、矯正治療を安心して受けていただこうと思います。
目次
矯正で歯が痛む理由
矯正中に痛みを感じるのには大きく分けて二つの理由があります
1,骨が吸収される際に痛みの物質が排出される
歯の大部分は顎の骨の中に埋まっており歯槽骨と呼ばれる骨に支えられています。
歯が適度な力で押されたり引っ張られたりすると、歯を動かしたい方向の歯槽骨が吸収されその分動きが生じます。
そして、元々歯があった部分は空洞にならず骨が再生していきます。これを繰り返すことで徐々に歯が動いてくるのです。
痛みが出るのは、この歯槽骨が吸収された際に痛みの原因となる物質が放出されるからです。特に矯正を始めてすぐや、大きな力で歯を動かした際に強い痛みが出ると言われています。
2、装置が唇や舌などに当たる痛み
二つ目は装置が唇や舌に当たって口内炎や傷が出来ることで生じる痛みです。
こちらも矯正を始めてすぐや初期のころによく表れる痛みです。
他にも矯正をすすめていくと、顎の痛み、歯が染みる痛み、咬んだ時に出る痛みなど様々な痛みが出ることがあります。
もしも普段感じない痛みがある際は早めにお知らせください。
矯正中痛みがない理由は弱い力で動かしているから?
歯が動く痛みがでないのは、体質的に痛みを感じにくかったり弱い力でゆっくり歯を動かしているためです。
ではなぜ弱い力なのでしょうか?強い力で歯を動かした方が早く歯が動くきがしますよね?
しかし、弱い力の方がメリットが多いこともあるのです。以下にそれをご説明していきます。
1,歯のガタガタ、重なりが強い
特に矯正の初期段階では髪の毛ほどの細いワイヤーで歯を動かしていきます。(※ワイヤーとは装置に付ける針金のことです。)
細いワイヤーはしなやかなため、矯正初期のガタガタが強い歯に向いています。ガタガタが強い歯並びでは歯と歯の重なりが大きいので
太いワイヤーが通るスペースが無いのです。そのため、矯正力は小さいですが細いワイヤーを使わざるをえません。
ワイヤーは形状記憶合金の一つであるニッケルを含むため弱い力でも歯を動かす力をじわじわとかけてくれます。
そして細いワイヤーのおかげでガタガタが少し緩和されてようやく少し太めの力が強いワイヤーを通すことが出来るようになるのです。
2,強い力をかけると、逆に歯が動かなくなってしまう
歯を動かす際に大きな力をかけすぎると、歯の周りの組織が貧血を起こし硬くなってそれ以上歯が動かなくなることがあります。(専門用語で硝子様変様と言います)
力を掛けるのをストップして時間が立てば元の状態に戻るのですが力を無理にかけすぎたばかりに逆に治療のスピードが遅れてしまうのです。
3,無駄な歯の動きを減らすため
矯正中の歯に力を掛けすぎると余剰な動きをしてしまうことがあります。
例えば、倒れている歯を起こす力が強すぎると、逆方向に倒れてしまいます。弱い力で少しずつ歯を動かしていれば丁度いい位置で止めることができますが
行き過ぎてしまうと、また更に逆方向の力をかけて歯を動かさなくてはならないため二度手間になってしまいます。
この他にも、強い力をかけすぎた反作用で動かさなくて良い歯が動いてしまったり、骨が再生するスピードが追い付かずに歯がグラグラになってしまうこともあります。
まとめ
痛みには個人差が大きく、矯正では同じ大きさの力をかけていても痛みが出る人や出ない人がいます。
特に、矯正は痛いという認識は広く知られており、ネットで矯正について検索すると様々な痛みの体験談がでてきます。
しかしそれらの痛みには、歯が動く痛みなのか、装置が当たっての痛みなのか明確な記載がないものも多いようです。
また、痛みの度合いや見た目の変化の速さだけが歯がしっかり動いている指標になるわけではなく、様々なリスクを避けながら慎重に歯を動かしていく事で最終的な歯並びをより美しく最短で手に入れることが出来ます。
歯科矯正は医療なのでより慎重に行わなければなりません。矯正を始められた際は、ぜひ焦らず一緒に頑張りましょうね!