「歯並びはきれいにしたいけど、健康な歯を抜くのはどうしても抵抗がある」
「抜歯しないで矯正する方法はないの?」
歯科矯正を考える多くの方が、抜歯に対して不安やためらいを感じています。
しかし、抜歯がなぜ選択肢として存在するのか、そして歯を抜かずに理想の歯並びを目指すにはどんな方法があるのかを正しく知ることで、その不安は解消されるかもしれません。
この記事では、矯正で抜歯を検討する理由から、歯を抜かずに歯並びを整える方法まで解説します。
目次
矯正で抜歯を検討する3つの理由
なぜ、歯並びを整えるために健康な歯を抜くことがあるのでしょうか。
それには、主に3つの理由があります。
歯を並べるためのスペースが不足しているため

現代人は食生活の変化などから顎が小さくなる傾向があり、歯が並ぶためのスペースが足りない方が増えています。
たとえば、定員5人の椅子に7人が座ろうとすると、誰かがはみ出してしまいますよね。歯並びも同じです。
無理に詰め込んでしまうと、治療後に歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」や、歯ぐきが下がる原因になりかねません。
そのため、計画的に歯を抜き、必要なスペースを確保するという選択肢が生まれるのです。
悩みが改善できない可能性があるため

抜歯は、患者様の「いちばん治したい悩み(主訴)」を解決するために必要となることがあります。
特に「口ゴボ」と呼ばれる口元の突出感を改善したい場合、抜歯が有効な手段となります。
長期的な安定と歯の健康を守るため

矯正治療の本当のゴールは、治療直後の美しさだけではありません。
整った歯並びと正しい噛み合わせが「長期間安定」し、歯や歯ぐきの健康を維持できることが重要です。
抜歯によって十分なスペースを確保することで、一本一本の歯を適切な位置に配置でき、安定した噛み合わせを得られることがあります。
そのため、将来的なお口の健康を第一に考えたとき、抜歯が確実な方法となることがあるのです。
非抜歯で目指せる代表的な方法
「抜歯の理由は分かったけれど、やっぱりできれば避けたい」そう思う方もいるでしょう。
歯を抜かずにスペースを作り出す方法も増えています。ここでは、代表的な4つのアプローチをご紹介します。
装置やアライナーで歯列の幅を広げる

歯を抜かずにスペースを作る方法として、歯列のアーチを横に広げる「歯列拡大」があります。
これは、もともと歯列の幅が狭い方に有効な方法です。
専用の装置で顎の骨にゆっくりと力をかけたり、インビザラインなどのマウスピース型矯正装置で歯を少しずつ動かしたりして、歯が並ぶためのスペースを確保します。
奥歯を後方に動かす遠心移動

奥歯をさらに後ろ側へ動かす「遠心移動」も、前歯を並べるスペースを生み出すための有効な手段です。
以前は技術的に難しいとされていましたが、「アンカースクリュー」という小さな医療用ネジを歯ぐきに埋め込み、
それを固定源にすることで、歯を効率的に動かせるようになりました。
また、インビザラインなどのマウスピース型矯正も、この遠心移動を得意としています。
IPR(ディスキング)

IPR(InterproximalReduction)とは、歯の側面を紙やすりのような器具でほんの少し削り、
スペースを作り出す方法です。「ディスキング」や「ストリッピング」とも呼ばれています。
歯1本あたりに削る量は0.25mm~0.5mm程度とわずかですが、複数の歯に行うことで、歯を並べるために必要な数ミリのスペースを確保できます。
顎の成長をコントロール
お子様の場合、顎の骨がまだ成長段階にあるため、その成長を利用して非抜歯矯正を行える可能性が大人よりも高くなります。
大人の矯正が「歯を動かす」ことがメインなのに対し、お子様の矯正(1期治療)では、歯が並ぶ土台である「顎の成長をコントロールする」ことが可能です。
抜歯が望ましい可能性が高いケース
お口の状態によっては、やはり抜歯をした方が良い結果につながるケースも存在します。
無理に非抜歯での治療にこだわってしまうと、見た目の満足度が低くなったり、噛み合わせに問題が残ったり、治療後に後戻りするリスクが高まったりすることがあるためです。
特に、以下のようなケースでは抜歯が望ましいと判断される可能性が高くなります。

- 重度のガタガタで、歯を並べるスペースが大幅に足りない場合
- 口ゴボで唇が自然に閉じにくい場合
- 歯が大きく前に傾いており、歯の根が骨の範囲から外れそうな危険がある場合
- 上下の顎の骨格的なズレが大きく、安定した噛み合わせを作るために抜歯による歯の移動が必要な場合
このように、「歯を抜かないこと」自体が目的になってしまうと、本当に解決したかったはずの悩みが改善されないまま治療が終わってしまうかもしれません。
抜歯は、ゴールにたどり着くための有効な手段の一つ。
抜歯か非抜歯で行うかは、どこまで安全に満足のいく結果を目指せるか、という見極めが重要です。
実例:「できれば歯を抜かずに矯正したい」というご希望にどう向き合うか

当院のカウンセリングでも、「できれば歯を抜かずに矯正したいです」というご相談は非常に多くいただきます。
当院では、まず精密検査によって顎の骨格や歯の大きさ、傾きといったお口の状態を把握し、なぜ抜歯という選択肢が考えられるのかを丁寧にご説明いたします。
たとえば、「歯をきれいに並べるために必要なスペースがどのくらい不足しているか」という点を具体的にお見せすることが可能です。
さらに、もし抜歯をせずに歯を並べた場合、歯並びがどのように変化するのか、といった治療後のイメージを専用のシミュレーション画像でご確認いただけます。
その上で、抜歯をする場合としない場合、それぞれの治療で予測される結果やメリット・デメリットを比較検討し、
患者様が矯正治療で何を優先したいのか、ご希望をじっくりと伺いながら一緒に考えていきます。
診断で確認すること・説明の受け方

一般的に、診断ではお口の中や顔の写真撮影、パノラマ、セファロ分析、口腔内スキャナーによる3D歯型データの取得などが行われます。
診断結果の説明を受ける際には、以下のポイントをぜひ確認してみてください。
- 見た目:理想の見た目や口元になりますか?
- 噛み合わせ:治療後に安定した噛み合わせになりますか?
- 期間と費用:具体的な治療期間と総額費用はどれくらいですか?
- 安定性:後戻りのリスクと、その対策(保定装置など)はどうなっていますか?
もし、一つのクリニックの説明だけで判断することに迷いや不安を感じる場合は、他の専門家の意見を聞く「セカンドオピニオン」を活用するのも賢明な方法です。
迷ったときの簡易チェックリスト

抜歯か、非抜歯か。治療法を選ぶ際に迷ってしまったら、以下のリストを参考に、「自分にとって何が一番大切か」を整理してみてください。
□いちばん叶えたいこと(主訴)は?(例:前歯のガタガタを治したい、出っ歯を引っ込めたい、口元の印象をすっきりさせたい)
□期間と通院回数のイメージは?(例:できるだけ短期間で終えたい、少し長くなっても理想を追求したい)
□見た目の変化と口元のボリュームは?(例:口元をしっかり下げたい、今の口元の印象はあまり変えたくない)
□費用と装置の種類は?(例:費用を抑えたい、目立たない装置が良い)
天神キュア矯正⻭科の方針

当院では以下のことをお約束しています。
- 考えられる選択肢を複数ご提案します。
- 抜歯・非抜歯それぞれのメリット・デメリットを正直にお伝えします。
- 見た目の美しさはもちろん、治療後の噛み合わせや歯の健康を生涯にわたって維持できる計画を重視します。
- シミュレーション画像なども活用しながら、ご納得いただけるまで丁寧にご説明します。
あなたの「こうなりたい」という想いを、ぜひお聞かせください。
まとめ
歯科矯正を考える上で「健康な歯を抜きたくない」という気持ちを無理に押し殺す必要はありません。
大切なのは、まず「なぜ抜歯が必要なケースがあるのか」という医学的な意味を正しく理解することです。
同時に、歯列拡大やIPRといった「非抜歯でできること」の可能性と、その限界も知ることで、ご自身にとって何がベストな選択なのかが明確に見えてきます。
インターネットで情報を集めることも大切ですが、最終的には精密検査が必要です。
少しでも疑問や不安に思うことがあれば、天神キュア矯正⻭科にご相談ください。
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