歯列矯正は、理想的な歯並びと噛み合わせを目指すための治療です。
歯並びを整えるゴールは同じですが、治療方法もいくつかあり、歯の表面にブラケットとワイヤーを装着するワイヤー矯正、
見えにくい裏側矯正、そして透明なアライナーを使うマウスピース型矯正などがあります。
しかし、どの矯正方法であっても生活習慣や取扱い方によって矯正装置が外れるトラブルの可能性はあります。
そのまま放置すると、歯の移動が止まって治療期間が延びたり、歯並びが元に戻ったりする可能性があるため、早めの対応が重要です。
そこで今回は、矯正装置が外れてしまったときにどうしたら良いか、その原因や応急処置の方法、さらに再発を防ぐためのポイントまで、分かりやすくご紹介します。
目次
矯正装置が外れたときの正しい対処法
・すぐに歯科医院へ相談
矯正装置が外れたり、ブラケットが取れたりした場合は、まず治療中の歯科医院にすぐ連絡しましょう。
自己判断で装置を付け直そうとすると、「歯や歯ぐきを傷つけてしまう」場合や「治療計画が変わってしまう」可能性があります。
特にワイヤー矯正や裏側矯正では、ワイヤーが外れることで歯への力のかかり方が変わり、歯が違う方向に動いてしまう恐れがあります。
マウスピース矯正でも、アライナーが破損したまま使用すると治療計画通り歯が動かなくなるため、必ず歯科医師の指示を受けましょう。
・装置には極力触れない
外れた装置を指や舌でいじると、破損が進んだり、口の中を傷つけたりする可能性があります。
特に外れたブラケットや飛び出たワイヤーの先端は尖っているため、唇や頬の内側を傷つけやすくなります。
電話で歯科医院に連絡し、応急処置の方法を確認して実施できる場合を除き、診察までの間はできるだけ装置には触れず、現状のまま保つことが望ましいです。
すぐに歯医者に行けない場合の応急処置
・歯科用ワックスを使用する
外れたブラケットや飛び出したワイヤーが頬や唇の内側に当たって痛む場合は、市販の矯正用ワックスや歯科医院から渡された保護剤を使用しましょう。
柔らかいワックスを指で温め、飛び出している部分に被せることで、粘膜への刺激をやわらげることが可能です。
・口内炎薬で粘膜を保護
すでに傷や口内炎ができてしまった場合は、市販の口内炎用軟膏や保護フィルムを使うと痛みを軽減できます。
特に、裏側矯正は舌に擦れて炎症を起こしやすいため、応急処置的に保護しておくことが大切です。
やってはいけない応急処置例
・接着剤で固定する
外れたブラケットやパーツを「とりあえず戻そう」と接着剤で固定するのは絶対に避けましょう。
接着剤に含まれる成分は、歯の表面や装置の金属・樹脂部分を劣化させるだけでなく、
口腔内の粘膜や歯ぐきに強い刺激を与え、炎症やアレルギー反応を引き起こすおそれもあります。
また、矯正の治療計画はとても細部まで計算して治療計画を立案しています。
矯正装置を一時的に固定できたように見えても、正しい位置や角度で接着できていないことが多いため、
治療計画が変わって歯が思っていなかった方向に動いてしまう可能性もあります。
・ペンチや爪切りでワイヤーを切る
飛び出したワイヤーが頬や舌に当たって痛い場合でも、家庭用のペンチや爪切りで切るのは非常に危険です。
刃の形状や切れ味が適していないため、切った断面が尖って、かえって粘膜を深く傷つけてしまう可能性があります。
さらに、切断時にワイヤーの破片が口腔内や喉に入り込み、誤飲・誤嚥のリスクも伴います。
専門的な器具や技術がない状態での処置は、口腔内の安全を損なう恐れがあるため止めましょう。
・自己判断で装置を外す
ブラケットなどの一部が外れたとき、ほかの部分も自己判断で取り外すことも絶対に止めましょう。
矯正装置は全体が連動して歯を動かす構造になっているため、一部でも欠けたまま使用すると力のかかり方が変わってしまう場合があり、
歯が治療計画とは違う方向へ移動したり、治療が後戻りしたりするリスクがあります。
また、矯正装置を無理に外そうとすると歯の表面や歯ぐきに傷をつける可能性があります。
装置が外れる原因は?
・食事の影響
矯正装置は、歯を動かすための精密な構造をしており、強い衝撃や引っ張る力に弱いという特徴があります。
そのため、硬い食べ物(ナッツ、氷、フランスパン、硬いおせんべいなど)を噛むと、ブラケットやワイヤーに一時的に大きな力が加わり、
ブラケットが取れたりワイヤーが変形したりする原因になる可能性があります。
また、キャラメルやガム、餅、ドライフルーツのような粘着性の高い食べ物は、
噛んだ瞬間に装置についてしまい、取る時に引っ張るような力が加わります。
そうすると、ブラケットが浮いたり、ワイヤーが外れたりすることがあります。
特に裏側矯正の場合、装置が舌側にあるため確認しづらく、外れたことに気づくのが遅れやすいこともあり、
その間に舌や粘膜に当たり、痛みや炎症が悪化することもあります。
マウスピース型矯正の場合も、マウスピースを装着したまま食事をすると、硬い食品でひび割れたり、熱い飲み物で変形したりする可能性があります。
わずかな変形でも歯への力のかかり方が変わるため、計画通りに歯が動かなくなるため注意が必要です。
食事の際は必ず外して、食事が終わったらすぐに歯磨きをして再装着する習慣を身につける必要があります。
・噛み合わせの変化
矯正治療では、歯の位置や角度が少しずつ変化していきます。
この「歯が動く過程」で、以前は問題なかったブラケットやワイヤーに、新しい力や圧力がかかるようになります。
例えば、上下の歯の噛み合わせが変わると、噛んだときにブラケットが直接反対側の歯に当たって外れやすくなることがあります。
ワイヤー矯正では、調整するとワイヤーが新しい位置にセットされるため、一時的に強い力が加わり、接着部分に負担が集中して外れるケースもあります。
マウスピース矯正では、装着・取り外しの際に力をかけすぎると、アライナーの一部が割れて歯にかかる力が不安定になり、歯の動きや噛み合わせが変わることもあります。
再発防止のための予防策
・食事の見直し
矯正治療中は、装置が非常にデリケートな状態になっています。
硬い食品
- ナッツ
- 氷
- フランスパン
- 硬いせんべいなど
粘着性の高い食品
- キャラメル
- ガム
- 餅
- ドライフルーツなど
は、ブラケットやワイヤーを外れる原因になることもあるためできるだけ控えましょう。
また、食材は小さく切って食べる、繊維質の強い野菜や肉はやわらかく調理するなど、噛むときの負担を減らす工夫も装置が外れにくくなる上で効果が見込めます。
マウスピース矯正の場合も、装着したままの飲食は止めましょう。
熱い飲み物や硬い食品は変形や破損の可能性があるため、必ず外してから飲食しましょう。
・矯正装置を正しく扱う
マウスピース型矯正は、マウスピースを外すときに片側ずつ奥歯の内側に手や外す器具をひっかけて、ゆっくり外し、無理な力を加えないようにします。
勢いよく外すと、変形やひび割れの原因になる場合があります。
また、マウスピースはプラスチックの素材のため、熱に弱い性質があります。
熱湯で消毒せず、水や食器用洗剤を使用して優しく洗いましょう。
10日~2週間で交換するため、汚れは着きにくいですが、気になる場合には、専用のマウスピース洗浄剤を使用して消毒しましょう。
ワイヤー矯正の場合は、歯磨きのときにブラシの毛先がブラケットに強く引っかからないよう注意しましょう。
無理に力をかけると接着部分が外れやすくなります。
裏側矯正の場合も同様で、舌側は見えにくく磨きにくいため、専用の矯正用歯ブラシやタフトブラシを使うと磨きやすいです。
・決められた期間で定期的にチェック
矯正治療では、歯や装置の状態を定期的に確認・調整することが必要です。
決められた期間内に来院することはもちろん、装置の緩みや変形、
ブラケットの浮きなど少しでも気になる状態になった場合は、予約日を待たずに早めに歯科医院へ連絡しましょう。
特に裏側矯正は見えにくいため、装置が外れていても気づきにくい場合があります。
歯磨きの際に装置の状態をチェックしたり、鏡やスマホのカメラを使って定期的にチェックしたりする習慣も有効です。
・歯磨き時のポイント
矯正装置が付いていると、どうしても磨き残しが増えやすくなりますが、力任せに磨くのはやめましょう。
ブラケットやワイヤーが外れる原因になるだけでなく、歯茎を傷つけて炎症を起こす可能性があります。
歯ブラシは毛先を軽く当て、小刻みに動かしてプラークを落とす方法がおすすめです。
裏側矯正の場合は、舌側用の小さなヘッドの歯ブラシを使うと清掃しやすく、ブラケット周りはタフトブラシを使いましょう。
マウスピース矯正の場合も、毎回の着脱ごとにブラッシングとうがいを行うと清潔な状態を保てます。
矯正をきっかけにお口の中に関心を持って、正しい歯みがき方法や口内環境を整える習慣をつけましょう。
まとめ
矯正装置が外れる原因は、食事や噛み合わせの変化など日常生活の中にあります。
そのため、矯正中の食事のポイントや装置の取り扱い方を知って、スムーズに矯正治療が行えるようにしましょう。
矯正期間中の生活や気をつけるポイントについては、サポートいたしますので、気になることはお気軽にご相談ください。
また、矯正装置が外れた場合は「すぐに歯医者に連絡」「装置に触れない」という2つの基本行動が重要です。
また、応急処置として矯正用ワックスや口内炎薬を使用することで、診察までの不快感や痛みを軽減しやすくなります。
ワイヤー矯正の表側矯正・裏側矯正・マウスピース矯正など、どの方法でも装置の破損は治療計画の遅れや後戻りの原因になります。
日頃から食事や装置の扱いに気をつけ、少しでも異変を感じたら早めに歯科医院へ相談しましょう。
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