こんにちは(^^)/
『天神歯科・矯正歯科』でございます!
受け口の改善は矯正歯科において一般的な治療の一つですが、
受け口の状態によっては全身麻酔が必要となることがあります。
通常、矯正歯科治療で麻酔が必要な処置はほとんどなく、例えば抜歯をするにしても局所麻酔が用いられますが、
ある特定のケースでは全身麻酔が必要になることがあるのです(‘ω’)
本記事では、受け口の治療する際どのような場合に全身麻酔が選ばれるのかについて、詳しく解説いたします!
受け口の治療方法
受け口は、下の歯が上の歯よりも前に出てしまい、上下の噛み合わせが反対になっている噛み合わせ・歯並びを言います。
受け口のほか、反対咬合や下顎前突とも呼ばれており、噛み合わせだけではなく顔貌にも影響が出やすいのが特徴です(-_-;)
ただ、受け口と一言で言っても、受け口となっている原因によってもいくつかのタイプに分けられ、
それにより推奨される治療方法も異なります。
下記は、受け口のタイプをおおまかに分類したものです。
①下顎が過成長で大きい、または前突している
②上顎が著しく小さい、または後退している
③下の前歯が前方(外側)に倒れている
④上の前歯が後方(内側)に倒れている
受け口は上記の原因により生じることのある不正咬合ですが、
ここからさらに①②は「骨格性」と呼ばれる受け口、③④は「歯槽性」と呼ばれる受け口に分類されます。
①②の骨格性とは、その名の通り骨格が原因で受け口が生じているタイプです。
下顎が過剰に成長、または前突しているなど下顎に原因があるものと、
上顎が通常よりも小さく後退しているなど上顎に原因があるものに分かれますが、
いずれも重度の場合には噛み合わせや見た目に大きな悪影響をもたらします( ;∀;)
歯の土台である顎そのものに原因があることから、歯だけを動かす歯列矯正だけでは十分に治療の効果が見込めないこともあるため、
外科手術を視野に入れた治療となる可能性が高いと言えます。
対して、③④の歯槽性はあくまでも歯並びの問題で受け口が生じており、顎自体には特に問題がないタイプです。
そのため、歯を動かす歯列矯正で受け口が改善するケースが多い傾向にあります。
歯を支えている骨の範囲や、受け口の状態によっても異なりますが、歯を抜いて(便宜抜歯)治療することもあり、
奥歯の噛み合わせもしっかりと合わせなければならないため、治療期間は2〜3年が一般的です。
矯正歯科治療で全身麻酔が必要なのは?
では、歯並びを改善する矯正治療で全身麻酔が必要なケースはあるのでしょうか?
先ほど挙げた4つのタイプについて理解した方はお分かりかと思いますが、
結論から言うと骨格性の受け口を治療する場合に限り「必要になることがある」と言えます。
つまり、顎の位置や大きさに問題があることで受け口となっている方は、
場合によっては歯列矯正治療と合わせて外科手術が必要になることから、
全身麻酔をすることもあり得る、ということです。
一般的に通常の矯正治療では、抜歯や歯科矯正用アンカースクリューを埋入する処置などにおいて、
局所麻酔を用いることは多々ありますが、全身麻酔を使用することはありません。
しかし、顎の骨を切るなどの処置を行う顎矯正手術では、基本的に全身麻酔が使用されます。
よって、骨格性の受け口が重度の「顎変形症」の疑いがある場合には、手術により全身麻酔が必要になる可能性が高いのです。
全身麻酔が必要な外科的矯正治療について
上下顎骨の形や大きさ、著しい位置異常があり受け口が生じている方は、
通常の矯正治療で歯を並べる治療と、顎の骨切り手術を併用する「外科的矯正治療」が推奨されます。
通常の歯列矯正治療単体では、噛み合わせや顔貌の改善に限界がある骨格性の受け口ですが、
外科手術を併用することで機能的、審美的な問題を改善できる効果が高まります。
また、顎骨に不調和がある状態のまま歯列矯正だけで歯を並べようとすると、
無理な歯の移動で歯ぐきや歯槽骨など歯周組織への負担が大きくなり、さらに安定した噛み合わせを得ることが難しい傾向にあります(-_-;)
しかし、外科的矯正手術では主な原因である顎の位置を手術によって改善できることから、
無理のない歯の移動で歯周組織への負担を最小限に抑えつ、調和の取れた噛み合わせや顔貌を得やすいのです(*^^)v
一方で、治療におけるデメリットももちろん存在しますΣ( ̄ロ ̄lll)
これは主に、外科手術による身体への負担やダウンタイムの長さ、入院の必要性や術後の一時的な知覚異常などです。
また、入院と外科手術を併用する場合事前の血液検査なども必要であることから、
通常の歯列矯正よりも治療期間が長くなることもデメリットの一つと言えるでしょう。
このような外科手術を伴う矯正治療は、一般的に以下の流れで進行します。
- 術前の矯正治療(1〜2年)→歯列矯正治療で歯を並べる
- 手術・入院(約10〜20日)→外科手術や顎骨の固定、リハビリを行います
- 術後の矯正治療(1〜2年)→術後、噛み合わせや歯列を調整する
- 保定(2〜3年※治療期間により変動)→矯正装置を外し、安定させるため保定装置を装着
上記は顎変形症と診断された方が、保険適用で受ける一般的な外科的矯正の流れとなりますが、
自費の場合には治療の最初に外科手術を行う「サージェリーファーストアプローチ」と呼ばれる方法で治療を行うケースもあります。
治療期間が短くなりやすく、早期に見た目の改善が可能であるほか、歯の表側にブラケットとワイヤーを装着する表側矯正だけでなく目立ちにくい「裏側矯正(舌側矯正)」も適応である一方で、治療費が高くなりやすい点が特徴です。(歯列矯正+外科手術で約200〜300万円)
いずれの治療方法においても外科手術を併用することから、
奥歯の噛み合わせや顔のバランスなどの改善が期待できるため、
治療効果が著しく異なるということはありません。
どちらか迷われている方は、メリットやデメリットを十分に理解し、
矯正歯科医のアドバイスを受けながら慎重に選択しましょう!
全身麻酔について
全身麻酔を知らない方はいないとは思いますが、実際に受けたことがある、特性について詳しく知っている、といった方は少ないのではないでしょうか?
全身麻酔は、意識を完全に消失させる麻酔方法です。
局所麻酔を用いた外科処置では痛みは感じないものの、触られたり押されたりする感覚があります。
身体への負担が少ない一方で、意識がはっきりとしている中で処置が行われるため、不安やストレスを感じる方も多いでしょう(;´・ω・)
全身麻酔は、手術中にこのような痛みや不安を感じることなく処置を受けられることから、
手術中の恐怖心やストレスを排除できる点が大きな特徴です。
一方で、割合としては多くないものの、全身麻酔には術後のアレルギー反応や吐き気、頭痛や筋肉痛などのリスクがあります。
手術の際には麻酔の専門医が適切に管理しているため、
麻酔そのものが原因で重篤な合併症を引き起こしたりることはほとんどありませんが、
比較的身体への負担が大きい麻酔方法となるため、術後に生じやすいリスクを完全に排除することはできません。
術後の負担を最低限に抑えるためにも、事前の問診においてご自身やご家族の既往歴を忘れずに伝え、
担当医から受ける術前・術後の注意点をしっかりと守りましょう。
まとめ
受け口を改善する矯正歯科治療において、全身麻酔が必要とされるケースは現状今回ご紹介した外科的矯正治療のみとなります。
外科的矯正治療は、骨格的な問題から受け口の症状がある方にとっては、 安定した噛み合わせや調和の取れた顔貌が得られる効果的な治療方法です。
ただ、外科的な処置や全身麻酔は健康状態によっても治療の可否が分かれるため、すべての患者様に適しているというわけではありません。
受け口でお悩みの方は、まずどのような治療が適しているのかを矯正歯科医に相談し、
リスクとメリットを十分に理解した上で治療を進めていくことが重要です!!